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2002年10月09日(水) [長年日記]

島津製作所の田中耕一さんがノーベル化学賞を受賞されました。

受賞理由は「生体高分子の同定および構造解析のための手法の開発」で、よーするにタンパク質を分析する新しい手法を開発しました、ということです。具体的には「マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(Matrix-Assist Laser Desorption and Ionization、略してMALDI)」という手法です。何のこっちゃわからんと思うので解説しますと、マトリックスと呼ばれるイオン化を補助する物質をタンパク質と混ぜ、それにレーザー光を当てることで、タンパク質をイオン化する方法です。ここまでがMALDIの手法で、ノーベル賞の対象です。イオンになれば電荷を持っているので、電場をかけてやると力が生じ、飛んでいきます。このとき、一つのタンパク質に与えられるエネルギーは同じなので、重いものほど速度は遅くなり、ある程度離れた検出器に到達するまでの時間は長くなります。つまり、この時間を測定することで、タンパク質の質量を知ることができます(Time-Of-Flight法、略してTOF)。

なぜ私がこんな解説をできるのかと言えば、卒論で使ったからに他なりません。研究室というところは、ノーベル賞やそれに近い功績がごろごろ転がっているところのようです(よく考えたら当たり前だ)。たとえば福井謙一のフロンティア電子理論など、今の化学では常識となっていますから。

ただ一つ留意していただきたいのは、ノーベル賞は新しい理論や手法を発明した人に贈られるもので、既存のアイデアを改良した人は対象にならない点です。たとえば先述したTOF法は昔からある手法なのですが、現代で分析手法として使えるのはフェムト秒(10-15秒)単位で計測できる検出器があってのこと。それは最近の進歩によるもので、それまでは分解能が悪く実用的ではなかったそうです。でも、その進歩に携わった方はノーベル賞の対象にはおそらくならないでしょう。


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